デューイ・リードモア・ブックス

図書館ねこ デューイ  ―町を幸せにしたトラねこの物語

図書館ねこ デューイ ―町を幸せにしたトラねこの物語

著者に女性の生きかたを重ねる方もいるだろう。
僕にとっては二つ。
ひとつは、生物多様性を考えるヒントになった。
図書館にネコを住ませておくことは大変なこと。輪ゴムを巡る騒動など、あげればきりがないほど、ヒトが譲歩し苦労せねばならないところが出てくる。でも、生き物との共存ってそういうこと。
あまりにもヒトにだけ都合のよいオフィス、道路、公園、そして住宅。我々はそれをあたりまえだと思っていないか。のらのネコがフンをした!落ち葉が屋根に落ちた!雑草が生えた!ってそんなの少々いいじゃない。仲良く一緒に暮らそうよ。ヒトも幸せになるよ。これからははっきりそう言おう。
生物多様性って、絶滅危惧種だけの問題じゃない。また、空き地をただ放置して雑草を生やせろという考えもどうか。これからヒトが意識して創ってゆくもの。未来に何かがあるのであって、過去にかえることはできないのだ。

そして、もうひとつ。
この本からアメリカが垣間見える。
アイオワ州スペンサーというとうもろこし畑に囲まれた田舎町の人々の暮らし。小さな自治体のありよう。アル中の夫と別れて生きる著者。大統領選挙やドルや株価だけからは見えないアメリカ。
NYと、それからオバマが演説したシカゴに行ってみたいと思っていたけど、アイオワにも行きたくなった。グランド・アベニューという古びた商店街があって、シスターズカフェには長老達が集まっているらしい。秋の大統領選挙では、どっちに入れたの?って聞いてみたいな。

デューイ・リードモア・ブックス。いい名前だね。