現代自然科学への道

現代自然科学への道

現代自然科学への道

少し古いが、教科書にも使われる著書。
よく分かる。
ヒトがどのようにして(どのように苦労して)現在の科学と世界観を手に入れてきたのか。
それは決して「与えられた」ものではなく、また、誰か一人の天才の手による作業でもない。
果てしない思考と実験と実践の積み重ねの上に築かれてきたものだ。
そして、宇宙も生命も素粒子もまだまだ分からないことだらけ。
何が分からないのかを把握することが、そしてそれに普段に攻め入ることが科学の過程なのだということ。
また当然ながら、時代時代の技術(経済と生産力)や価値観に科学的認識も規定されるということ。
このような科学史の把握こそがまさにひとつの哲学であり、しかもそれ以外の立場には立ちようがないほど明快なものであること。
それらは僕自身の立脚点を再確認することでもある。

著作の時期が少し古いので、最新の領域の記述がないこと。
そして何より、東アジアの科学史が抜け落ちていることはとても残念。

いずれにせよ、科学史は全ての学問に共通の基礎的必須科目だ。