里山資本主義

僕は社会科の授業で、「兼業農家」って、何か否定的な存在として学んだ記憶がある。
皆さまはどうか。
例えば米どころ新潟。
ゴールデンウィークには、あの広い越後平野を雪解けの水が満たす。
見渡すかぎりの水田に一斉に田植えがおこなわれる。
そこを一軒一軒歩いたことがある。選挙のお手伝いだ。
家には子どもたちが留守番。トラクターで田植えをする若い世代は、
普段は働きに出ている人たち。連休だからと、みんな田植えに出る。
つまり、兼業。米どころ新潟においても、それが多数だったと記憶する。
そして、とても豊かな農村を形作っている。
僕の田舎でも、専業農家は、主流ではない。

「百姓」と網野善彦は強調した。
畑を耕し、水のあるところでは米をつくり、川や海で魚や貝や海藻を摂り、山でキノコや薪を得。
竹を編んで籠を売り・・・・
さまざまな、可能なことすべてを尽くして生きてきた。
もちろん、商品経済も含まれる。
それが日本の姿だと。

100%資本主義って、米国くらい。
日本は、7割資本主義くらいかな?
中国は5割?
欧州は意外と「資本主義率」低いかも。
その他の大多数の地域は、「すべてカネ」ではない生き方をしている。

里山資本主義」って、その、完全には資本主義化されていない、
つまり、交換価値化されていない、つまりプライスレスな部分をきちんと見ようよ、と。
そういうことではないかと、僕は勝手に考える。

宮本常一の出た、周防大島もちゃんと登場するので何かうれしかったり。

そして、そのプライスレスな部分こそ、
人にはとても大切なことなのだと。
生きものにも地球にもはもちろん。

そして、日本中にこころある人達がたくさんいるのだということを、
この本は教えてくれる。
カネに身を委ねない人たちがたくさんいることを。
だからまた、前を向く。
そのことでとても元気をもらう。