村上海賊の娘

村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻

自民党村上誠一郎衆議院議員が、特定秘密法案に反対し、本会議の採決を欠席した。この人は、村上水軍の子孫。しかも、この小説の主人公「景」の能島村上の子孫だと言う。
なるほど!
そんなの関係ないとばかにするなかれ。
能島村上は、村上水軍(海賊)3派のなかで、毛利や河野の陸地大名に屈服せず最後まで独立を貫いた系統なのだ。

沖縄の普天間移設問題で、自民党幹事長の石破が沖縄県選出の自民党国会議員を呼んで説得、辺野古への県内移設を認めさせた。これは、簡単な話で、認めなければ次は公認しないと脅かしただけのこと。それくらいでビビるなら政治家やめろ!と言いたいが、今の国会議員はほとんどがこのレベル。バッチがほしいだけ。もちろん与野党を問わず。モノ言えぬ国会になっているのです。「公認権」で脅かして中央独裁を維持しているだけのこと。特定秘密法も基本このような考え方から出てきたものに他ならない。
だから、そんななかでたった一人だけ自民党で退席した村上誠一郎は、とってもとっても偉い。
実は僕の地元はこの愛媛2区!田舎のじいちゃんばあちゃんに言っとこ!

村上誠一郎はきっとこの本を読んで、そして本会議を欠席したのだ。

自由と独立。
これがテーマだと思う。
戦国末期、信長と対峙した大坂本願寺。瀬戸内から紀州にかけての海賊たちもふた手に別れ海上の戦をたたかう。能島の村上武吉は、信長に抗して戦う道を選び、包囲された本願寺海上から食糧などを運び入れる作戦に参加する。しかし実は本気で毛利に与する気持ちはなく、狙いは別のところに。しかし、現場での景の「活躍」によって戦になり、毛利・村上連合軍が勝利する。
歴史的には、その後信長の「鉄の船」によって水軍は敗北するのだが、その手前でお話は終わる。

屈服して生きるか、戦って死ぬか。突き詰めればそんな選択を、この時代の地方大名たちは迫られた。その中での生き方のひとつ。
それが歴史の進歩だって言うかもしれない。

しかし、安倍や石破の行く先に進歩はあるのか。
権力でいうことをきかせるだけの政治。情報統制。こんな社会で育った若者たちが、グローバル社会を生きてゆく人材になるのか。
この著書は、ちょうどそんな時に、人として生きることの構えを問い直させてくれるものだと思う。
自由と独立の大切さを。