進化するドルの危機

進化するドルの危機 by 田中宇

深化するドルの危機

非常に面白い記事。
以下、一部引用させていただくと・・・・

サブプライムによる金融機関の損失が、今後もっとひどくなることを確実に
する事態も起きている。米オハイオ州の裁判所では11月中旬、ドイツ銀行が、
地元の14世帯のサブプライム住宅ローンの債務者(借り手)を相手に起こし
た裁判に敗訴した。ドイツ銀行は以前、オハイオ州の金融機関が貸し出した無
数のサブプライムローンを束ねて輪切りにした債券を購入した。今夏以降の危
機で債券の価値が急落したため、もともとのローンの担保となっていた債務者
の住宅を没収し、競売にかけて債権の一部を取り戻そうとした。
http://www.telegraph.co.uk/money/main.jhtml?xml=/money/2007/11/16/cndeutsch116.xml

債務者との争いは裁判に持ち込まれ、裁判所はドイツ銀行に、14世帯の住
宅の担保権(抵当権)をドイツ銀行が持っていることを示す証書を提出しなさ
いと命じた。しかしドイツ銀行は、そんな証書を持っていなかったため、権利
関係を証明できず、敗訴した。ドイツ銀行が買ったのは、オハイオ州の金融機
関が融資した無数のローンを集めてミンチにした「挽き肉」であり、もともと
のローンの貸し借りの担保権とは関係の切れた商品である。
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=7413
http://tanakanews.com/070821credit.htm

アメリカでは従来、金融機関が担保権を行使してローン債務者の住宅を没収
する際、裁判に持ち込まれることは少なく、裁判所から具体的な担保権を示す
証書の提示を求められることも少なかった。住宅ローン債券は優良商品とみな
されていたので、ドイツ銀行をはじめとする金融機関は、具体的な担保権の証
書などなくてもローン債券をどんどん買っていた。だが、最近のローン金利
上昇で、住宅ローンの返済ができなくなる人がアメリカで急増し、ローン破綻
者を救済すべきだという世論も強まり、債権者である金融機関と、債務者であ
る借り手との対立が全米で強まり、裁判所は債権債務関係を以前より厳密に調
べるようになった。
http://online.wsj.com/article/SB119638615868608863.html

▼底が抜けたサブプライムの損失

オハイオ州の裁判の判例は、サブプライムローン債券を持っているすべての
金融機関にとって大打撃である。ほとんどの金融機関は、ドイツ銀行と同様、
債券のもともとのローンの担保権の証書など持っていないからである。たとえ
て言うと、挽き肉にもともとの牛の血統証がついてくるはずがないし、挽き肉
を買う際にそんな証書を求める人もいない。しかし、その証書がないと担保権
の行使ができないとなれば、ローン債券は紙くずと化す。

これまで、サブプライム問題の損失総額は、ローン破綻者に対して担保権が
行使されることを前提に「住宅相場の下落によって、没収した住宅を競売にか
けたら、もともとの価格の何割かは損する」といった概算がされてきた。しか
し、担保権を行使できないとなれば、損失はローン破綻者の債権の何割かでは
なく、全額になる。オハイオ州判例は、金融機関の損失を急増させる破壊力
を持っている。この判例は、損失を底抜けの状態にしてしまった。逆に、ロー
ンの借り手の方は、金を返さなくても家を没収されずにすむことになる。人々
はローンを返済する気がなくなり、ますます債務不履行が増える。・・・・・
・・・・・・・・・」

ぜひ、本文をお読みいただきたい。
いよいよ、世界を支配するドルの終焉が近づいてきている。