私たち、発達障害と生きてます

私たち、発達障害と生きてます―出会い、そして再生へ

私たち、発達障害と生きてます―出会い、そして再生へ

  • 作者: 高森明,木下千紗子 ,南雲 明彦 ,高橋今日子 ,橙山緑 ,片岡麻実 ,鈴木大知 ,アハメッド敦子 
  • 出版社/メーカー: ぶどう社
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本
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Tさんに紹介された。
「(発達障害の)中途診断者はある意味で、文化も風習も教えられることなく、異文化の世界に放り込まれた異邦人である。」・・・のくだりが印象に残る。著者の一人高森明氏はこう語る「しかし、わたしは敢えて、早期に診断を受けた当事者とは別の意味で有意義な人生だったと考えたい。」
林望氏の「異文化体験」を引き合いに出しながら、社会を体全体で味わってきた、この経験は一つの財産だと言ってもよい、と。
でも、Tさんの友人はそのことに耐えられず自ら死を選んだ。「有意義」というにはあまりに苛酷な体験と言うべき。自ら選択した道ではないだけに。
「『典型的』な発達障害であることは、学問的に必要なことにすぎず、生身の私たちは、生まれながらにも、そしてその後の人生によっても、多様な存在です。ひとりひとり違い、ひとりひとりが”ほんものの人間”です。」(木下千紗子)・・・この叫びが社会のみんなに届くにはあと何年。
政治を変えることと、社会が変わることはまったく別のこと。つながりはあるにはあるが。この果てしない道のりを歩いてゆくしかない。自らのこととして。