考古学と古代史のあいだ

考古学と古代史のあいだ (ちくま学芸文庫)

考古学と古代史のあいだ (ちくま学芸文庫)

非常に落ち着いた著作。平易で、しかも説得力がある。
特に「終章 倭国の文明化と古代国家の形成」の部分、「騎馬民族はやってきたのか」「倭国の文明化をもたらしたもの」の論旨は明快。
「外圧、すなわち外的刺激がなければ倭国が文明化しなかったことは明らかですが、ただ外的刺激があっても、これを受け入れる側に受容のための内的条件や受け入れ能力がなければ、これを受けとめることはできません。・・・」
古代国家を形づくる際にわが先達たちが受け入れ、吸収した中国大陸・朝鮮半島の技術・文化・制度。「国際」関係の中で変化発展してきた日本の歴史。当然これは日本だけのことではない。世界中の人々が、危機に直面するたびにそうして新たな段階を拓いてきたのではないか。
もちろん時には行き過ぎた拝跪もあった。
しかしそうして現在に至る歴史を受け止めることは、大切なことだ。
奈良の三輪山の麓にある箸墓古墳を一度訪れてみたくなる。