宇宙は本当にひとつなのか

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

当世第一人者のひとりの著書。
とってもわかりやすい。
もちろん後半の「多次元宇宙」や「異次元の存在」あたりは頭を柔らかくしないとついてゆけないが、なんとなくわかった気になるから不思議。
科学は科学なんだよという説明も随所に出てくる。理論を立て、実験で証明されて初めてそれは真実と確かめられる。「物理学では間違いである確率が0.0001%以下でないと新しい素粒子や物質が発見されたとは認めません。」という科学の探求の中から「不確定な」「異次元」というものが想定されたりする。
一番最後の章を読み終えようとしていたとき、とっても静かな気持ちになったなと考えていたら、著者が「宇宙の研究をしているととても謙虚な気持ちになります。宇宙の中のちっぽけな存在である私たちがここまで宇宙を理解できたのはとても不思議なことです。そしてこれからも驚くようなことがわかってくるに違いありません。」と締めくくっていた。
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「異次元が一つだけという場合は、一つの次元の大きさが10の13乗メートル・・」。10の何乗という言葉があちこち登場する。
一方で実感として僕らは、足し算と引き算の世界でしか生きていない。掛け算になるとたとえば「三鷹駅の乗降客数が3倍になりました」「某国のGDPが二倍になりました」って、大変なことになる。そんな簡単な算数の世界が、どうしてこんなにややこしいのか。もう少しだけでも冷静に、科学的になれないものか。そう思うのは、僕が政治の世界という最もわけのわからない世界の端っこにいるからだろうか。科学って言えば、こんなに危険な原発を「安全、大丈夫」と強弁してきたのも科学の世界にいる人たちなんだけどね。