風の谷

山は真剣勝負

山は真剣勝負

知る人ぞ知る、市内在住の「山屋」(著者は「山ヤ」と書く)の「辛口登山原論」。この人が本当にプロの山屋さんであることが、よくわかる。
そして、「山」ということの中に、いわば社会を凝縮した、ある意味では全てを盛り込んだ問題提起がされる。
僕なんかはこの前のキャンプのとき、星空の下で眠るのが怖くてテントに逃げ込んでしまった弱虫だけれども、この人は当たり前のように自然の中に身を置く。南方熊楠は、コケの研究に山に入ると野宿を続けながら沢をさまよったと聞く。からだを、そうして、山の中に置かなければ、山のことは本当にはわからないのかも知れない。たまに気まぐれで奥多摩に出かける程度ではお話にならないことを思い知らされる。
荒川の水源林である秩父の山が好きだ、と。
3.11の経験も含め、この時代にあらためて、いわゆる「趣味」や知ったかぶりの領域ではなく、「山」(あるいは「海」)に関心と敬意をはらうことが大切ではないかと、思う。

著者のHPは以下。

http://www.ne.jp/asahi/tetsu/kazenotani/index.html