だって殺されるもん

あんぽん 孫正義伝

あんぽん 孫正義伝

最後の最後、孫正義の父親三憲さんへのインタビューのくだり

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(三憲)「・・ただ、日本の国策にしている根幹の仕事にあんまり立ち入るとね。もともと韓国人だから」
(著者)「いくら日本に帰化してもですか。」
(三憲)「はい、韓国人がなんば言い寄るかというふうに思う人もいっぱいおるから」
(著者)「なるほど、親としてはそれが心配だと。」
(三憲)「殺されるもん」
(著者)「殺される?」
(三憲)「危ないもん。僕は正義のことが心配で心配でたまらんけん」
ネットを見ると、確かに右翼からの脱原発の旗振り役になった孫正義への攻撃はすさまじい。

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最初から全部読んで、父三憲さんの人となりを頭に入れなければこの言葉の意味合いは十分に伝わってこない。
まさに最前線で今を生きる人の評伝だけに、この「伝」は強烈だ。
「異端児」と書かれるが、どうだろう。「日本」と「朝鮮」の接点に歴史的に生まれたエネルギーは、生まれるべくして生まれ、爆発したのでは。

著者「だから、私はこう言いたい。孫正義よ、頼むから在日でいつづけてくれ。そして物議を醸しつづけてくれ。あなたがいない日本は、閉塞感が漂う退屈なだけの三等国になってしまうからである。」佐野眞一、おもしろいぞ。