反省を込めて
- 作者: DPI日本会議
- 出版社/メーカー: 解放出版社
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 単行本
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かねてから障がい者制度改革推進会議にも参加し、あるいは協働してきた当事者の方たちが中心になってまとめたものである。
どちらかというと今の時点では、世の中的には、自立支援法の改正をめぐり民主党政権の約束違反の面を強調する論調が多い。同法を巡る訴訟の和解の経緯からすれば、それは当然のことだ。
一方この著書では、昨年の7月に成立した障害者基本法の改正に焦点をあて、その積極面と不十分な点をどちらもきちっと評価している。
とりわけ、障害者が基本的人権を持つことの確認と共生社会の実現、障害を作り出す「社会的障壁」の定義、つまり社会参加の不利の原因を社会的障壁にあるという考え方をしっかり取り入れた点、など、根本的なところで大きな前進があることを指摘している。
ちょうど武蔵野市では、第五期長期計画と健康福祉総合計画の策定作業が進められていた。とりわけ私は厚生委員会に所属しており、総合計画については毎回の委員会で質疑をしていた。なぜそのときにこの法改正の積極性を取り上げなかったのかと、反省している。二つの計画を読み直してみると、この基本法や障害者の権利条約に触れている部分はごく少ない。わずかに、総合計画は、障害者基本法と自立支援法に基づいて策定されるものだという記述があるのみ。
「障害者基本法改正の意義と内容を踏まえ」「国連障害者の権利条約の理念を受け止め」という記述を入れ、目指す方向を明確にすべきだったと考える。それは、武蔵野市において基本的理念としている「地域リハビリテーション」にも重なるものだし、そのことをきちっと定義することでもあると考える。
・・そんなことを考えながら市の例規類集をめくってみる。やはり障害福祉の分野では、基本的な理念・目標の規定はない。いきなり「心身障害者福祉手当条例」が出てきて、これはやはり過去のものだという思いを強くする。権利条約を批准しようという時代。これにふさわしい条例の基本を、ローカルガバメントなら定めておくべきではないだろうか。
できるだけ基本的な方向性の議論・質疑を心がけているつもりだが、総合計画の際にもどうしても目線が具体的なところへと行ってしまっている。もちろん具体性は大切だが、どちらの方向を向いているのか、みんなで共有することがまず重要なのだ。自分の至らなさを痛感する。
また、現政権への不満が募る中で、どうしても「すべてダメ!」みたいな感覚で片付けてしまっていないか。
障がい者制度改革推進会議の成果は正しく評価されねばならないし、その道筋を作ったのは政権交代による民主党政権であったことは、まぎれもない事実なのだから。