食と農の未来

食と農の未来―ユーラシア一万年の旅 (地球研叢書)

食と農の未来―ユーラシア一万年の旅 (地球研叢書)

第2章に「鮒ずし」と言って、とてもクセのある「すし」が出てくる。滋賀を訪れると一週間もいれば必ずいただく機会に恵まれ、僕も好物のひとつだ。
これが、モンスーン地帯の「米と魚」のセットのひとつの典型例なのだと、著者は言う。

「米と魚」の一方ではユーラシア大陸の広大な地域にまたがって広がる「麦の風土」があると。
ここでは、「麦・ジャガイモと肉・ミルクの生産の同所性」が特徴と指摘される。

ユーラシアにはごく大ざっぱにこのふたつのセットが分布するというのだ。そしてそれぞれに、置かれた自然環境とヒトが歩んできた道筋の特徴が反映されているという。
そこから話は1万年前にさかのぼり・・・このあたりはNHKスペシャルの「Human」とぴったり重なる問題意識となる。

さらに「農業が環境を破壊するとき」と。

著者は「植物遺伝学」とくに稲が専門らしい。アジアの数カ所にフィールドを持ち、さらに世界をかけめぐっている。

最後は「野生動物を食べよう」って。この意味、わかるかな?知りたい方はどうぞ読んでね。

日本における現在の食のあり方が「暴挙」(これは僕の言い方)としか言いようのないものだということも、よく分かる。「
食の倫理」を復興させ、未来を再構築することが不可欠と思い知らされる。