愛媛・新風土記

愛媛・新風土記 (えひめブックス)

愛媛・新風土記 (えひめブックス)

先日帰省の際、空港で発見。
著者は愛媛出身ではない。でも、愛媛で長く仕事をされ、伊予を愛しておられることがよく分かる。
「はじめに」に、「日本経済が20世紀のなかで最も成長をとげたころに、われわれは『何か忘れものをしてきたのではないか』という経済至上主義の時流への反省の思いをこめて、歴史への再認識と地域の文化的・社会的な特性の再発見を促したものであった。・・・住民の地域とのかかわりにおける帰属意識アイデンティティ)の高まりを期待したものであった。」と明確に書かれている通りの内容となっている。
風土とは、自然と人間とのかかわりのなかで歴史的に形成されてきたもので、地域・地方によってそれぞれに特性がある、とし「環境可能論」という言葉が使われている。よく使われる「持続可能」という意味と同等かと考えつつ読む。
1200年にわたって「伊予」を一つの国名としていただき、ひとつの国を形成してきた愛媛。みかんや伊予かん、米作りなどの農業や瀬戸内海や宇和海での漁業の歴史をはじめとして、現在までのこの国の成り立ちが実に詳しく記されている。河野水軍も村上水軍も。河野も村上も僕が生まれ育った風早郡北条を含むこの地域で展開された歴史だ。

愛媛に限らない。
それぞれの国にはそれぞれの特徴を持った歴史がある。それはただの「うんちく」では、もはやない。これからの時代に生きる一人ひとりにとって必須の科学的知識であり、まちづくり地域づくりのベクトルを定める不可欠の要素だと再認識する。