本質を見抜く力

本質を見抜く力―環境・食料・エネルギー (PHP新書 546)

本質を見抜く力―環境・食料・エネルギー (PHP新書 546)

この著書のメインタイトルは、好きでない。むしろサブの「環境・食料・エネルギー」の方がわかりやすい。
対談相手が面白い。
竹村公太郎氏は、国土交通省河川局長を務めた方で、あまり官僚的でない物言いにひかれる。
また、「第6章 日本の農業、本当の問題」では神門善久という研究者が登場する。最初はとっても過激な主張の印象だが、よく読むと合理的で現実的な指摘にうなづく。最新では「日本農業への正しい絶望法」を出しており、いわゆるキレイゴトではなく現実の中からの問題提起が鋭い。
三人に共通する印象は・・・
イデオロギーや特定の政治的立場から出される路線と無縁である、いや意図的に分岐していること。逆に自分のアタマで考え、足で歩き、現場から事実を積み上げようとしていること。そこは対談の3人に共通してはっきりしている。メインタイトルではそれを言いたかったのかな。
水と食料(農業・漁業・林業)とエネルギーと。これが日本の将来を左右する決定的に重要な要素だとの主張は、まったく賛成する。TPPとかグローバリズムとか言って、世界中なんでもやり取りできるような考えもあるようだが、「水を運ぶのは大変」(竹村)「たとえばエネルギー問題で言いますと、水くらい運べないものはない」(養老)のだ。水問題をめぐる世界的な危機と日本の現状、そして強みを専門的な視点から明らかにしてくれる。

Hさん、ありがとう。遅くなりました。