細菌が世界を支配する
- 作者: アンマクズラック,Anne Maczulak,西田美緒子
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: 単行本
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「薬の歴史
紀元前2000年 さあ、この根っこを食べなさい。
西暦1000年 そんな根っこは野蛮だ。さあ、祈りなさい。
西暦1850年 そんなお祈りは迷信だよ。さあ、この妙薬を飲み干してごらん。
西暦1920年 そんな薬は当てにならないよ。さあ、この錠剤を飲みなさい。
西暦1945年 そんな錠剤は効かない。さあ、このペニシリンを注射しよう。
西暦1955年 おっと・・・バイ菌が突然変異した。さあ、このテトラサイクリンを注射しよう。
西暦1960〜1999年 さらに39回の『おっと・・・』。さあ、もっと強力なこの抗生物質を注射しよう。
西暦2000年 バイ菌の勝ちだ!さあ、この根っこを食べなさい。」
著書の中段に「作者不詳」として紹介されているこのフレーズを読めば、わかる方はだいたい分かる。
細菌なしでは生きられない!
いやいや、世界は細菌から成り立っている!?と言っても過言ではない。
「実際にはすべての細菌のなかで病原菌が占める割合は小さいのに、15秒以内に細菌の名前を10個あげろと言われれば、たいていの人は病原菌の名前ばかりを並べ立てるだろう。
私は人びとが抱く最近のイメージをよくしようという思いから、この本を書いている」
・・・・という著者の気持ちはとても理解できるが、読み通すには非常に骨の折れる著書だ。時間がかかる。素人にはすっと理解できることは少なく、つっかえつっかえしているうちに眠くなる事のくり返しである。半年近くお付き合いさせていただいた。
「バイ菌」を死語に!
これが、まず、ひとつの感想。そして、もっと大切なことは、菌をなめてはいけないということ。「工場式畜産を支える論理と家畜に抗生物質を与えるやり方は、合理的とはいえず、どちらもやめることが賢明ではないだろうか。」と著者が指摘するとおり、菌をなめた考え方やり方は、人類を含む生物界に破壊的な作用をもたらしかねない。
その意味では、「原発」とまったく同じ問題である。
すべての生命を育む細菌についての基本的な理解は、現代人の教養の必須だと考える。